大庄屋諏訪家屋敷は守山市指定文化財史跡です。
大庄屋諏訪家屋敷の構成として江戸時代後期の主屋・書院、江戸時代前期の茶室の建物、庭として池泉回遊式庭園、枯山水式庭園があります。
主屋・書院の建築年代は不詳ですが、文政(ぶんせい)年間の祈祷札や書院破風板(はふいた)の天保(てんぽう)年間の墨書などを参考にすると、文化(ぶんか)頃に2棟が合せて建築された可能性が高いと思われます。茶室は元禄(げんろく)12(1699)年の銘のある瓦が葺かれていました。
大庄屋諏訪家屋敷は、近世の和風建築と庭園を有する密度の高い大庄屋屋敷として、滋賀県内にも数少ない大変重要な屋敷です。
主屋



主屋は入母屋造、茅葺き屋根の大型農家住宅で、棟は南北、東向き平入りです。内部は土間と畳部屋がほぼ半々で、玄関を入ると「おもてにわ」、「にわ」があり、土間には女部屋や風呂、おクドさん(カマド)があります。畳部屋は「だいどこ」、「かみだいどこ」、「なんど」、「おいま」「仏間」などがあり、広い生活専用空間を見ることができます。
土間の上は「つし」となっていて、上を見上げると「つし」から合掌組や迫力ある大庄屋諏訪家屋敷ならではの梁が見られます。
書院

書院は入母屋造、茅葺き屋根の接客用建物で、南向きです。内部は玄関座敷、中座敷、奥座敷がL字に配置され、各部屋に床の間があります。玄関座敷や奥座敷から迫力ある茅葺屋根を身近に見ることができます。玄関に式台が付設され、玄関座敷の右手に2畳の間があり、従者の待合室になっていました。
茶室


茶室は明治になって大津の円満院(えんまんいん)から移築されたものです。上段の間が設けられ、縁が付設されています。江戸前期の茶室建築として数少ない隠れた秀作です。
庭園
庭園は、枯山水(かれさんすい)式庭園と池泉(ちせん)回遊式(かいゆうしき)庭園があります。庭園の北東隅には信州から勧請(かんじょう)した諏訪神社を祀っています。
枯山水式庭園

書院の奥座敷から眺められる庭園は、築山と大きな岩を配した枯山水(かれさんすい)式庭園です。大きな立石と築山の間には苔が密集しており、石と苔で谷や滝を拵(こしら)えています。
水門

現在は釈迦堂(しゃかどう)川の水位が下がって水はありませんが、池の北端には石の丸橋や水門があり、船を引き入れていました。
池泉回遊式庭園と半夏生

主屋北側と書院中座敷から見える庭園は、池の周囲に飛び石を配置した池泉(ちせん)回遊式(かいゆうしき)庭園です。
庭園では毎年6 月中旬から6月下旬頃に半夏生の群生を見ることができます。半夏生は葉の上半分が白くなることから別名片白草(かたしろぐさ)とも呼ばれています。夏の暑さを忘れさせてくれる清々しい光景をどうぞお楽しみください。
その他
建築物にはほかに東別院に通じる通用門、北西の竹薮には裏門があり、敷地は約4,000 ㎡です。





